01/29/05(土)
ツーリングと呼ぶには、あまりにも短過ぎる走行距離29.6キロ。でも、今回テーマだけはバッチリ決まっていた。大好きな晴海ふ頭へ、6時44分の日の出を見に走るのだ。
去年夏、バイクを納車した後、一番最初に向かったのは晴海客船ターミナルだった。それ以来、ぶらっと走りたくなる日は必ずここへ来た。歓迎デッキに出て、海の向こうに広がるお台場、レインボーブリッジ、東京タワーなんかを眺めていると、気持ちを上手にリセットできた。ここは私にとって、とても思い入れのある場所だ。
で、何故今日晴海で朝焼けかというと、単にこの時間帯しかスケジュールに余裕がなかったのだ。それに、日の出はもう何年も見ていない。
朝4時過ぎに起き、5時過ぎにキッチンでこっそりいちごヨーグルトを食べた。6時過ぎにエンジンをかけると、数秒後に弱々しく「ぷすん」と停止してしまった。もう一度エンジンをかけ、音が安定したのを確かめ出発。もちろん今日も全身皮で、装備はばっちり。マフラーからしゅんしゅんと吐き出される煙の白さが、早朝の冷え込みを伝えていた。でも、一週間ぶりのバイクだし、道もガラガラ。気分は充分ハイだった。
ほとんど信号に邪魔されることなく、甲州街道を走り抜ける。ここまでスムーズに走れると、本当に気持ちがいい。半蔵門、銀座、築地、勝どきを通り、晴海まで15分程度。渋滞していると、1時間かかるときもある。
到着したのは、6時半頃。徐々に明らんできた空を見上げると、そこには白い月がまだ輝いていた。夜の終わりと、朝の始まりが共存する、何とも不思議な時間帯だった。
周りを見ると、意外なことに人の姿があった。晴海ふ頭公園へ犬の散歩をしに来た人、近くのグラウンドへ練習しに来た少年野球団、晴海ふ頭から発つバスの運転手。でも、歓迎デッキに出ている人は誰もいなかった。そこはいつものように、静かで美しかった。
そして日の出。マグマのように輝く濃いオレンジ色の光が見え、「来たー!」と思ったのも束の間、一分もしないうちにぐんぐん昇り、あっと言う間に完全な姿を見せた。あっちが東で、やっぱり地球って回ってるんだなあと感動した。周りを見れば、太陽の光を浴びた全てが輝いていた。東京も、悪くない。
日が昇りきるのを見届け満足し、出発する準備をしていると「1300ですか?」と、タクシーの運転手らしき男性がぷらりとやって来た。「400ですよ」と答えると、「大きいから1300かと思った。一人で来たの?」「はい」「そう。それだけ装備をきめてくれるといいね」「寒いですし、転ぶと危ないですから」「僕の奥さんは3年前に大型免許を取ったけど、全然乗ってないんだよ」「それはもったいないですね」「うん、そうだね」と少し、話をした。
「これからまたどこかへ行くの?」と聞かれ、「お台場まで回って帰ろうかと思ったんですけど、お腹が空いちゃったから、帰ろうかなと思って」と答える。「そりゃもったいないよ。レインボーブリッジの方なんか、キレイだよ。回って帰るといいよ」と。確かに、4時過ぎに起きてこれだけじゃ、もったいないかな。ということで、お台場へ渡り、レインボーブリッジを通って帰ることにした。
晴海通りへ出て、信号待ちで停車していると、隣に止まったトラックの運転手がこちらを見ていた。会釈をすると、相手も会釈を返してくれた。気持ちの良い、朝だった。
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