富士眺望の湯 ゆらり〜富士スバルライン

アルバム■走行距離:306`
■走行ルート:首都高〜中央自動車道(高井戸〜勝沼)〜R34〜R137(旧鎌倉往還)〜河口湖大橋〜R139(富士パノラマライン)〜R707(河口湖富士線)〜富士スバルライン
■有料道路:首都高⇔:\1,000、中央自動車道⇔:\4,050、河口湖大橋⇒:\150、富士スバルライン⇔:\1,700
■温泉:\1,200

11/09/04(火)

 8日夜。天気予報士が、「明日は気持ちの良い秋晴れとなるでしょう」と告げている。「気持ちの良い」という冠は、即ちツーリング日和ってことだ。走りに行こう。この時期、目指すなら露天風呂と紅葉観賞がいい。露天風呂で、スカーっと気分を晴らすのだ。どこがいいかなとツーリングマップルを眺め、目に留まったのが山梨県にある「富士眺望の湯 ゆらり」。ふんふん、何だかゆらゆらでいい感じ。ここに決まり。
 ゆらりは、中央自動車道大月JCT先の河口湖を降りた少し先にある。朝、目標の8時出発は達成できず、結局9時過ぎに家を出た。中央道へは永福から首都高を経由し、家からは比較的短時間で乗ることが出来る。相変わらず上り線は渋滞、下りは気持ちよく流れていた。やっぱりツーリングは平日だねえと快調に飛ばし、談合坂SAへ休憩とガソリン補給のため立ち寄った。

 談合坂SAの二輪パーキングエリアには、3台の先着バイクと一人の男性が立っていた。「寒いですねー、今日はどちらまで行かれるんですか?」と聞くと、「今日はね、ビーナスラインまで」。ビーナスラインといえば、暖かくなったら是非走ってみたいと思っていた長野県の道。「今の時期でもビーナスライン、いいですか?」と聞くと、「去年もこの時期に行ったけど、良かったですよ」とお兄さん。っかー、私も来年行きますよ。
 少しのおしゃべりと休憩の後、出発しようと後方を確認すると、なんと女性ライダーが一人やって来た。たまげた! 高速で女性に会うのは超、激レアなことなのだ。しかもソロなんて、自分の他に見たことない。
 ドキドキしながら彼女がヘルメットをとるのを待ち、声をかけてみた。ちなみに見知らぬ男性に話しかけるより、よっぽど緊張した。ピッカピカのカワサキ、エストレヤに乗った彼女は、ブルーのアイシャドウが印象的で大学生ぐらい。聞けば免許はとりたて、高速は2度目で、都留にある実家まで帰る途中だそう。バイクは3年前にお姉さんが買ったものを、新古車の状態でもらったそう。いいなあ。と、短時間にもかかわらず濃密なコミュニケーションを交わし、ガールズトークを満喫した。やっぱり女の子同士はいいね。
 お互い気をつけてと声を掛け合い、さあ今度こそ出発。大月は、もうすぐそこ。

 大月JCTと大月出口は別だったっけ、それとも一緒だったっけと考えていたら、あっと言う間に二つの出口を通り過ぎてしまった。ぎゃあああどんくさい。でもまあいっか、全ての道はつながっているのだと開き直り、次の勝沼で高速を下り、南へ向かった。勝沼と言えば葡萄の名産地。さすがにシーズンも終わり町は閑散としていたけれど、枯れた葡萄畑も何だか良かった。勝沼は好きだ。
 少々遠回りになったものの、河口湖大橋を渡り、迷うことなく無事ゆらりへ到着。大月で下りそびれたことなど棚に上げ、私は地図が読める女だと一人満足しながらバイクを降りた。実は、案内板やのぼりが豊富で、迷いようがなかっただけ、かもしれない。
 ちなみに河口湖大橋(道百選)は本当に短い距離ながらも、れっきとした有料道路(二輪車150円)。あの距離で150円は高いが、橋の上から見える景色はプライスレス。きらめく湖や壮大な富士山に目を奪われ、よそ見したい気持ちを抑えるのが本当に大変だった。ああもっとよく景色が見たいと駐車できる場所を探すものの、そんなものはなかった。そりゃ橋の上だもんね。

 到着後、高速で冷え切った体を一刻も早く暖めようと、露天風呂へ急行した。待望のゆらゆらだ!
 湯船につかると、「富士眺望の湯」という名の通り、目の前には全体ではないものの富士山がくっきり見えた。富士山、本当に大きいねえと感心しつつ、湯船の中でこった体をストレッチしまくった。
 16種類もの温泉があるゆらりだが、すぐにのぼせる私が制覇できたのは5つだけ。次々にハシゴしたそれら中で、最も気に入ったのが香り風呂だった。六角形をしたガラス張りの部屋の中に、これまた六角形のジャグジー風呂があり、その中はラベンダーの香りでいっぱいというゴージャスなお風呂。うー極楽。アロマ風呂バンザーイ。
 午後1時過ぎに遅めのランチをとりながら、富士山を思った。どの高さ、どの角度から見ても本当に美しい。もっと近くに行きたかった。地図を見ると、富士山五合目までの道「富士スバルライン」が近くにある。計画にはなかったけれど、行っちゃおうかな。

 早速駐車場へ向かい、出発準備にかかる。まずはゼナのディスクロックアラームをはずして……とここで、思い出すのも嫌なトラブルが発生した。ロックを解除したにもかかわらず、アラームが誤作動し「ピッピッピッピッ」と鳴り続けるのだ。その音、実に110デシベル。それがどれぐらいうるさいかって、そりゃあもう心臓が飛び出るぐらい。ちなみに具体例を挙げると、110デシベルは自動車の警笛(前方2m)、120デシベルは飛行機のエンジン近くの騒音レベル。ま、防犯用としては、これぐらいうるさくないとね。
 一生懸命振ったり、鍵を抜き差ししたり、もう一度ディスクにロックしたり、外したりと繰り返してみる。が、努力空しく効果ナシ。これは電池を取り出すしかないと、小さな六角レンチを求めて温泉受付へ逆戻りした。出来る限り手で音漏れを塞ぎながら受付でレンチをゲット。いや〜な冷や汗をダラダラ流し、やっとの思いで電池を取り出した。このときゼナ、まだ購入3ヵ月目。ゼナよ……ちぇ!

 可愛くないゼナをえーいっとバッグに放り込み、富士スバルラインへと移動開始。富士山五合目まで行ける有料道路とあって、料金は二輪車1700円(往復)と決して安くない。でも、どんどん近く、大きくなる富士山を目の前に、金額なんて気にならない。
 一合目に入ると直ぐ、ぐっと冷える気温差を肌で感じた。冷たい風が首元から入り込んできて、キレるように痛い。手も冷たい。ヘルメットの中ではーっと息を吐くと、シールドが白く曇った。富士山だもん、寒いよね。
 どんどん走り上がり、四合目を過ぎると急に傾斜がきつくなった。それと同時に、雪化粧で白く輝く富士山の頂上が鮮明に見えてきた。左には、真っ青な空を優雅に流れていく雲と、遠くに透ける山の陰が見えるだけ。自分の目線と同じ高さに雲があるのを見て、随分高くまで上がってきたことを実感した。雲に、本当に触れそう。飛行機で雲を越えるのとでは、感動が違った。そして、標高2,305mの五合目。

 気温約16度(東京22度)の五合目には、絶景が広がっていた。グローブをぬぎ、素手でヘルメットに触れるとひんやり冷たい。タンクも、同じように冷たかった。周りの気色や空気があまりにも圧倒的で、ただただ胸が爽快感でいっぱいになった。これぞ最高の気分転換。
 お土産を買って、暗くなる前に帰ろう。そう思い支度を始めたとき、赤い大型のバイクがやって来て、私のバイクと向き合う形で隣に止まった。その人がノーヘルだったので、ちょっとビックリした。何でも、女性ライダーが珍しいと、向こうに止めていたのにこっちへ移動してきたそう。「バイクなの? バイクで来たの? さっき歩いているところを見かけて、格好はどう見てもバイクだけど、でも本当にバイクなんだねえ!」と愛想良く声をかけてくれたのは、上下黒のレザーに身をつつんだダンディーなおじさん。赤いV-MAXに乗っていて、この20年間モデルチェンジしてないそう。バイクへの愛を感じる。新潟から来たというので、自然と地震の話になるが、彼の住んでいる所はそれほど被害もなく、こちらが拍子抜けするほど平気な様子。女性ライダーに会ったことを、帰ったら仲間のライダーに伝えたいと、私とバイクの証拠写真を撮っていった。新潟の近くに住んでいたら一緒にツーリングに行けるのにねと、言ってくれたおじさん。またいつか、何処かで会えたらいいですね。お気をつけてと声をかけ合い、富士山を下りた。

 帰り道、またガソリン補給のため談合坂SAに立ち寄った。暗いし寒いし、早く家に帰りたい。ガソリンを入れ勢い良く高速へと合流。その直後、今日の締めトラブルが。いつも背中に感じるリアバッグの感触が、突然消えたのだ。左手を後ろにまわし存在を確認すると、そこにはあるべきものがなかった。
 ハザードランプを点滅させ、急いで路側帯に寄り停車するが頭の中は真っ白。もう本当にこんな状態→(゜Д゜)ひーえー。私のクシタニバッグが、デジカメが。時速100キロで走っているとして、いったい何メートル歩いて戻れば……それよりここは高速、どうやって中央車線まで回収しに行くのだ。線路に落としたら駅員へ、高速に落としたら道路公団員? 半パニック状態でバイクを降りた。ヘルメットを脱ぐと、「ビュンッ、ビュンッ」という音と共に、物凄いスピードで車が走り去っていく。立ち止まってみると、高速は本当に高速で怖い。呆然としながらふと視線を落とすと、なんとリアバッグが横にずれ落ちた状態で、バイクにくっ付いていた。このとき感じた安堵は、表現できない。今度こそバッグをしっかりと固定し、再び時速100キロの流れに乗った。
 終始トラブル続きのツーリングも、終わり良ければ全て良し。今日は楽しかった!




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