エンジンガード と、プロテクターの話
■エンジンガード(Honda純正アクセサリー)■定価:各\13,000
左の写真を見て欲しい。黒いエンジンガードが削れて銀色に光り、ギザギザになっている。これは、バイクの教室でコース内を走行中、車体を深くバンクさせて右へ転回していたときに滑り、車体が左へスライドしたときに付いたもの。私自身は右へ投げ出され、幸いケガはなかった。プロテクターのおかげだ。そして、クランクケースが割れなかったのは、正にエンジンガードのおかげ。
私は、実はこの日まで、「バイクというものは、いくらバンクさせても絶対に倒れない。だからバンクさせるのは怖くない」と、何故か盲目的に信じていた。でも、例えばタイヤを交換したばかりだったり、濡れ落ち葉があったり、路面に砂利がういていたりと、その日その時の条件によって、滑る可能性は常に存在する。もちろん、自分の技術不足もある。
ちなみにアスファルトの上をスライドすると、服は簡単に破ける。この日もしも、膝にプロテクターを装着していなければ、良くて流血、悪くて骨折。警視庁交通部の指導員も言っていたけれど、バイクに乗るなら肘、膝のプロテクターは必要不可欠。「そんなに深くバンクさせて曲がったりしませんから」ということではなく、滑る可能性、事故に遭う危険性は、皆平等に抱え、常に存在する。だからやっぱり、装備は怠っちゃいけない。
それから、ヘルメットのアゴ紐は、必ずしっかりとしめること。衝撃でヘルメットがずれるので、アゴ紐をしめていなければ、それはノーヘルと同じ。キレイにペイントされた半ヘルのファッション性より、まずは安全性を考えてフルフェイスを選んで欲しい。
グローブ
■KUSHITANI「GPSグローブ」■定価:\12,600
■KUSHITANI「エアーストリームグローブ」■定価:\6,615
冬はさておき、暑くなると素手でグリップを握っているライダーを多く見かけるようになる。男性より握力が劣ることは否めないけれど、それでもグローブなしでは、グリップ操作に影響が出るんじゃないのかなあと、思ってしまう。素手だと、頼りない感じがしない? 汗で滑らない? 直射日光が当たって、暑いし日焼けしない? 第一、危なくない? コケたら、皮めくれちゃわない?
教習所で会うティーンエイジャーは、よく「お金がないからギアを揃えられない」という。そんな話を聞く度、どうにか、出来るだけ良いものを身に着けて欲しいと、願わずにはいられない。親に借金してでも、最低限のギアは揃えてほしいと。転べば怪我するし、怪我すれば痛いよ。
私が愛用しているグローブは、クシタニのもの。クシタニの皮は、とても柔らかい。万が一濡れても、決して硬くならない。そして、何より強い。秋〜冬は、手首がしっかり隠れるロングタイプのGPSグローブ(写真右上)を使っている。ちょっとサイズが大きいので、中に薄いコットンの手袋を着けて、その上に着けることが多い。このグローブ、すごーくすごーく気に入っている。
暑くなったら、メッシュのエアーストリームグローブ(同左)。走っていると、指先から風が抜けていくのが、とても気持ち良い。このグローブは、汚れたら洗濯機で丸洗いできるので手入れが楽チン! 皮のグローブは、汚れを落として、ミンクオイルを塗ってと手がかかる分、愛着がわきやすいかもしれない。大事に使って、ボロボロになっても、きっと捨てたりしない。
ヘルメット
■ARAI「RX-7 RR4」■規格:スネルMJ2000・JIS■定価:\51,450
一番最初に購入したギアは、ヘルメットとグローブだった。購入前、ヘルメットの相場価格やメーカー等を調べるためネットサーフィンしていると、面白いページにたどり着いた。「質問:あなたはどうしてスネル規格のヘルメットを被らないのですか?」という質疑応答掲示板のページだ。「スネル規格」って、何だろう。
調べてみると、ヘルメットには色んな規定があって、その中で最も厳しいテスト基準を定めているのが、アメリカのスネル記念財団による「スネル規格」だった。「スネル」というのは、1956年のオートレース中に事故で亡くなったウィリアム・“ピート”・スネル氏の名前からきている。レース中に装着していたヘルメットがその機能を果たさず、頭部の大怪我が原因で彼は亡くなった。スネルの死を無駄にせぬよう科学者や医師、友人らが力を合わせ1957年に設立したのがスネル記念財団。5年毎に規格が見直される度、どんどん厳しい基準が設けられている。技術革新を考えれば、この制度は素晴らしいと思う。教習所でもこういうこと、教えてくれればいいのに。
で、「質問:あなたはどうしてスネル規格のヘルメットを被らないのですか?」。私も是非聞きたい。この質問に対する回答は16件。色んな意見があってとても興味深いので、もしも興味がある人は掲示板を読んでみてほしい。私はこのページを読んで、ヘルメットは必ずスネル規格のものにしようと決めた。
大事な頭を、肝心な時に守れなければ意味がない。多少高くても、命がかかっているのに妥協などできない。上野のバイク街を見てまわり、定価\51,450のアライRX-7 RR4を\38,000で購入した。もちろん、サイズ確認のために試着させてもらった。お店によっては試着がNGなところもあったが、そういう店では買わなかった。
装備に関しては本当に人それぞれで、アゴ紐を締めていなかったり、素手だったり、サンダルだったり、ノースリーブだったり。そういう人を見る度、命や健康は何にも代えがたいのになと、思う。
事故はいつ起こるか分からない。今日は暑いから、今日は近くまでだから、今日は、と気分で装備を怠りたくなる日もあるけれど、事故はいつでも起こり得る。そう考えると、私はやっぱり着ける物を全部着けて、外へ出る。
命は何よりも大切で重たいのに、簡単に失われてしまうものだ。私にそのことを教えてくれた愛しい存在のためにも、装備は怠らない。そして、たまに家族から「無理しないでね」と声をかけられると、それがものすごく効く。
プロテクター
■HONDA「TH-B94 ボディプロテクター」■定価:\20,790
■HONDA「EJ-E91 マルチプロテクターライト」■定価:\4,200
初めて教習所でバイクに乗った人は、誰もが自分の「露出度の高さ」、「守る壁がない」ことを、認識すると思う。そんなバイクに乗るからには、最低限のプロテクターは着用したい。ヘルメット、グローブ、ブーツは当然として、私はこれに胸部と肘、膝のプロテクターを着ける。ライディング・ウェアに内装されているものが便利だけれど、内装されていなければ内側にスリップオンタイプの物を着ける。
2003年の自動二輪、死亡重傷の傷害部位構成は、死亡の1位が頭部、2位が胸部。逆に重傷は手足の損傷が多い。頭部はヘルメットで守るとして、やはり胸部を守るプロテクターも着用したい。噂によると、HONDAのボディプロテクターは白バイも正式に採用しているそう。プロテクターは一度着用し始めると、それなしでは走れないぐらいの安心感を与えてくれるし、着けていることを忘れるぐらい軽い。
でも、どんなにプロテクターを着けても、自ら危険を招くような運転をすれば意味がない。だから、ライディングテクニックの向上と、安全運転をいつも心がけている。危ないという理由で、バイクを捨てたくないほど、好きだから。
ライディングウェア
■SPIDI「P34 FACTORY」■定価:\63,000
バイクに乗るなら、肌の露出を最低限に抑える長袖長ズボンが基本。が、夏は暑いし冬は寒い。一番良いのはやはりライダー専用に作られたもので、夏はメッシュ、冬は皮かな。ただ、残念ながらレディースもののライディングウェアは、少ない。その数少ない中で私が(レディースものだけでなく)おすすめするのはKUSHITANIとSPIDI。ライディング・ウェアを扱うメーカーは沢山あり、皆それぞれお気に入りがあると思う。それで良いと思う。でも、特にKUSHITANIは、間違いない。
夏、半ヘルから長い髪をなびかせ、ノースリーブでアメリカンに跨る女性を見た。確かにとてもカッコよかった。でも、あれで事故ったら綺麗な顔にも、スラっと美しくのびた腕にも、一生消えない傷がつくかもしれない。私の膝、肘には、教習所で転んだときにつけたアザと傷が、未だに残っている。プロテクターを着けていれば、すりむくこともなかっただろうし、暑いからと薄手の長袖でなくメッシュのジャケットを着ていれば、服が破れることもなかったはず。
ガッチリ装備でツーリングへ出掛け、途中観光をしているとき、ミニスカートでデート中の女の子なんかを見かけると、ちょっぴり自分が恥ずかしくなる。私だって、可愛い格好で闊歩したいさ。でもね、ライダーだからね。それに、ライディングウェアをきちんと着ている人は、カッコよく見えちゃうものだ。と願いたい。
ミラーシールド
■SALミラーシールド セミスモーク/グリーン■定価:\8,190
道を走っていると、たまに何かが「コツン」とシールドに当たってドキっとする。小石、トンボ、虫、結構いろんなものが飛んでくる。落ち葉なんかが吹き荒れていると、シールドがあるのに、条件反射のように「うわっ」となってしまうぐらい。目を守るためにも、シールドは必要不可欠。
それからたまに、太陽光線がまぶし過ぎて、信号の色が判断できないときがある。信号の色が見えず事故に、なんてことはあってはならーん! ということで、標準(ライトスモーク)シールドと、セミスモークベースのミラーシールド(グリーン)を、使い分けることにした。ちなみに、何故普通のセミスモークでなく、ミラーかというと、単純にミラーの方が機能的に優れていると思ったから。といっても、RICOLAND東雲店の店員さんは、「ミラーの利点は、格好だけです」と断言していた。ま、少なくとも、普通のセミスモークよりはミラーの方が紫外線を多くカットしてくれると思う。紫外線を甘く見ちゃいけない。
ミラーシールドはブルー、シルバー、ゴールド、パープルなんかもあるけれど、一番見えやすいのはグリーンだった。それにセミスモークベースなので、普通に見やすい。でも夜は使用不可。
ミラーというだけあって、外側からは(角度にもよるが)中が見えない。これで困るのは、例えば目で合図ができなくなることかな。道を譲ったり譲られたりしたとき、目で合図をすることは多いだけに、ちょっと困るかもしれない。「目は口ほどに物を言う」と、言うぐらいだしね。
安全運転について
2003年の交通事故による死者数は7,702人。内、二輪車の事故死者数は1,353人。自動二輪事故類型の構成率はは、31%が単独、20%が右直、20%が出会い頭。単独事故の内容は、防護柵、電柱といった工作物への衝突が54%、転倒が30%(財団法人交通事故総合分析センターより)。これが意味することは、スピードの出し過ぎということ。事故の発生状況や防止については、交通事故分析センターのサイトに詳しく載っているので、是非一度読んでみてほしい。
以前、奥多摩周遊道を走行中、途中にある都民の森で休憩した時、駐車場整備のおじさんと話をした。奥多摩周遊道といえば、走り屋御用達というか、攻めるライダー向けというか、もう正にそんな道である。「二輪がたくさん来るのはかまわないけど、音がね。あと、皆スピードを出すからねえ。先週も救急車で運ばれていったよ。救急車が来るまでには時間もかかるし。」と、少し悲しそうに言っていた。そんな話をしている最中にも、都民の森入口で、左折しようとたバイクと、Uターンしようとした対向車線のバイクがぶつかりそうになり、1台が転倒した。幸いなことに傷付いたのはバイクだけだったが、転倒した本人も、対向車線を走っていたライダーも、その仲間たちも、それを見たおじさんと私も、少なからず皆ショックを受けた。安全運転で自分の命を守ることも大事だが、自分の家族や友達、恋人など、大切な人の心を守るためにも、やっぱり安全運転が第一なのだと思った。
と、言いつつも、私自身100%安全運転を達成できているわけではない。見ていて危なっかしい運転や、無茶な車線変更をしたり、加速減速が足りなかったり、反省すべき点は多い。外を走る度、学ぶことがある。ヒヤっとする度、安全運転への意識が高まる。初心を忘れず、経験値を積み、これからも安全運転でバイクに乗りたい。
Copyright © JEDDAMERIPON. All Rights Reserved.