東京湾アクアライン〜富津岬〜東京湾観音

アルバム■走行距離:162`
■走行ルート:第一京浜〜R409〜東京湾アクアライン〜東京湾アクアライン連絡道〜R127〜R16〜R465
■有料道路:首都高⇒:\700、東京湾アクアライン⇔:\4,800、東京湾アクアライン連絡道⇔\300
■拝観料:\500

02/05/05(土)

 昨日、立春を迎えた。実際はまだまだ寒いのに、立春だ、春だ、遠出だーっ! と一人意気込み、比較的温暖な房総半島へ行くことにした。東京湾アクアラインの15.1キロを走れば、一気に木更津入りできる。移動時間が短ければ、広い房総半島を少しは南下できるかもしれない。

 朝8時過ぎ、一週間ぶりにバイクカバーを外す。真っ白いタンクの表面にはうっすらと埃が積もり、指でなぞるとひんやり冷たかった。エンジンをかけ、マフラーから勢いよく吐き出される白い煙を見るだけで、いつも胸が高鳴る。週末は、誰にも邪魔できない自分だけの時間で、その自由を、この瞬間に噛み締める。これからどこへでも行ける、遠くまで行ける、そう思うと、いつも気持ちが良い。

 アクアラインの入口を目指し、順調に第一京浜を走っていると、赤信号で止まった前の車の男性ドライバーが突然車を降りた。あれ、どうしたのかなと思ったら、何と真っ直ぐ私の元へ歩いて来る。もしかして、何か怒られるのでは……急いでヘルメットのシールドを上げ、男性を見た。すると、「後ろのタイヤ、空気が抜けてるから、どっかガソリンスタンドに寄って行った方がいいよ」と言い、そのままクルリと車に戻って行った。えっっっ、何てこと!!  「ありがとうございます!」と男性に聞こえるよう叫び、急いでGSを探した。まずい、本当に何てことでしょう。

 ようやく見つけたENEOSでバイクを降り、後輪を見ると確かにつぶれていた。これは、ショックだった。パンクのまま走り続けていたら、どうなっていたんだろう? これは私が、走行前点検の義務をサボったせいだ。点検の大切さが、このとき本当に身にしみた。GSのお兄さんと一緒に後輪をまわして確認すると、銀色に光る一本の釘が刺さっていた。よくあることらしく、「3000円(所要時間10分)で修理できますからー」とお兄さん。
 修理してもらっている間、お兄さんたちと話をした。「タイヤの空気は新しい、古いに係わらず、置いておくと自然に抜けていくので、1ヵ月に一度は(ガソリンを入れるときにでも)空気圧を見てもらった方がいいですよ」。知らなかった。「空気圧が適切でないと、特にバイクの場合、燃費が悪くなったりもしますから」。それも知らなかった。「あ、前輪もちょっと空気抜けてますね。入れておきましょうね」。かたじけない。今後、メンテ本を少しはかじろう。「ヘルメット、僕のと同じだ」。そう、被るならフルフェイスよね!
 ものすごーく感じの良いENEOSスタッフに感謝し、気持ちを切り替えアクアラインへ。意識してみると、確かに修理後は走りやすかった。でも、あの親切な男性ドライバーが教えてくれなければ、いつ気付いたことか。優しい人がいる世の中で、本当に良かった。

 東京湾アクアラインは全長15.1キロと短く、しかも最初の10キロは海底トンネルである。薄暗く、単調なトンネル内ではスピード感覚が鈍り易い。ついつい時速130キロ近く出してしまいそうになるので、メーターを気にしながら走った。10キロを走り終え地上に出れば、そこは海ほたる。疲れてないけれど、一休み。
 海ほたるの出入口付近では沢山の交通整備員が、こっちだよ、こっちだよと腕をグルグルまわし、二輪駐車スペースへと案内してくれた。さすが海ほたる。バイクを降り中へ入ると、何と建物は5階建て。その、どの窓からも見渡せる海は圧倒的で、思わず息を飲むぐらい。外には大きなモニュメント(写真)があり、とても印象的だった。説明書きを読むと、これは建設記念碑で、実際にアクアラインの海底トンネルを掘ったシールドマシンのカッターフェイスを、復元したものだった。地球を掘り進んだカッター、大きい!

 海ほたる内をプラプラしていると、砂時計の形をしたタイムカプセルポストを見つけた。このポストに手紙を出すと、一年後に配達されるらしい。未来の自分に手紙を書いたことはあるけれど、手元に保存しておくので、実際に“届く”ことはない。すっごく面白そうなので、コンビニでレターセットとペンを買い、早速手紙を書くことにした。
 一人集中して手紙を書いていると、午前11時からの海ほたる発光観察会のアナウンスが流れた。周りできゃっきゃと騒いでいた子供や家族連れが、あっと言う間に消えてゆく。海ほたるの発光は見たいけれど、まあいいやと、そのまま二通の手紙を書き上げた。一通は、一年後の自分へ。もう一通は、毎日お世話になっている二人へ。仕上げに切手と、今日の日付が入った海ほたるのスタンプを押して、ポストの中へ。一年間、どこで眠るんだろう。忘れた頃に、手元に戻っておいでね。

 高速を降り、まずは富津岬へ向かった。この間、銚子を目指して走ったときにも感じたが、千葉は景色が横長に開けていて、東京にはない開放感がある。地平線と呼べるほどの直線ではないにしても、それに近い横一線が目前に広がり、これが不思議と安心する。
 岬の手前にある富津公園に着いた頃、空は完全に曇っていた。ちょっと残念だけど、こればっかりは仕方がない。公園を抜け、先端にある富津岬へ行く途中、梅の花を見つけた。もう咲いているんだと驚き、バイクを降りて香りをかいでみたら、思いのほか甘く、いかにも“花”らしい香りがした。ま、すっぱい香りがするわけないか。

 富津岬を折り返し、次は東京湾観音を目指し南へ走った。その観音、かなりデカイらしい。リラックスして道を走っていると、突然「プッ」と短くクラクションが鳴り、びっくりした。どうやら、右斜め後ろを走るトラックが発したものらしい。といっても、怪しい走りをしている車はないし、私の走りもおかしくないはず。何で鳴らしたんだろうと不思議に思っていると、横を追い抜いていったそのトラックの窓から、おじさんが顔を出し、ミラー越しに目を合わせ、ニッコリ手を振り去って行った。女性ライダーは数が圧倒的に少なく、珍しいという意味で、こういうことはよくある。おじさん、嬉しいけど、びっくりするからクラクションは鳴らさないでね。

 東京湾観音の案内板に従い走り続けると、北東に、観音像の頭がひょっこり見えた。あれだー! 途中で右折し、山道に入る。久々のワインディングロードを一気に駆け上がり、ついに東京湾観音の真下に到着。でっっかい!
 東京湾観音の高さは地上56mで、これが本当に大きい。真下に立つと、眉毛とか、鼻の穴とか、しっかり全部見える。うひょー、としばらく観音像を見上げ、感心するばかりだった。思ったほど人もおらず、観音像の周りには神聖な空気が漂い、その場全体が穏やかさと、安らぎに満ちていた。平和を感じた。

 観音像の足元には、「世界平和」の文字が彫られた石が、多数置かれていた。案内板をよく読むと、東京湾観音というのは、「建立者の宇佐美政衛が世界の平和を祈願して日本の表玄関、そして東京湾を一望に出来るここ大坪山に、全世界の戦死戦災死者の霊を慰めるため、建立」」されたものだった(パンフレットより抜粋)。昭和32年から、私財1億2,000万円が投じられ、立てられた救世観音。この観音像に、それほどの思いが込められていると知り胸をうたれた。
 観音像の内部には314段の螺旋階段があり、20階(天上界)まで昇れるようになっている。早速拝観料500円を下で払い、314段に挑んだ。階を上がるごと七福神や十二支守り本尊があったりと、中も神聖な場所だった。螺旋階段はどんどん幅が狭くなり、上の方は人一人がやっと通れるぐらいのスペース。閉所、高所が苦手な人は、意識し始めると軽いパニックに陥るんじゃないかと思うほ、狭くて高い。実際、下から「ヤバイ、怖い怖い怖い」と女性の甲高い声が聞こえてきた。私も怖いんだよう。でも必ず上まで行きますとも。
 314段の最後には、ちょっとした台が設置されていた。その上には、来た人が書き込めるノートが置いてあり、見るとそれぞれの願い事が書き込まれていた。さて、何を書こうとしばし考え、結局、皆の共通の願いである四文字を残してきた。

 あっと言う間に夕方になり、もうそろそろ帰ろうと猛烈にお土産屋を探していると、「うまいのりここにあり」と、海苔屋の看板を発見。その何とも分かり易い看板につられ、早速駐車場にバイクを止め、お店の中へ。
 店に入ると、広いカウンターの向こう側におばさんが一人。私はあまりの寒さにプルプル震えながら「さささささむい」と小さく言葉を漏らした。それが面白かったのか、おばさんが「うっふっふ」と笑い出した。「なあに? バイクで来たの?」「はい」「まあ、寒いでしょうに?」「はい、とっても」「バイクに乗る人は風を感じるのが気持ち良いって言うけど、でも寒いでしょう?」「はい、普通に、すっごく、寒いです」。ほんと、凍えちゃうよ。とっても感じの良いおばさんに、房総半島のお土産を探しているんですと話すと、色んな海苔を紹介し、実際味見もさせてくれた。おしゃべりをしながら新のりや粉末のりを買うと、「これも食べてね」ときざみ海苔をおまけにつけてくれた。富津市民に幸あれ!

 帰りも海ほたるに立ち寄り、追加でいくつかお土産を買った。中でも、可愛かったのが海ほたる焼。中身は普通(あんこ)で、形が“海ほたる君”というだけなんだけれど、これが超キュート。どちらかといえば、焼き機の方を買いたかった。
 外は、あと1時間もすれば夕暮れ時。赤く染まる空と海を見てみたかったが、日が落ちれば気温もぐっと下がる。きっとまた来るから、今日はもう帰ろうと、お土産をリアバッグに詰め込んだ。
 実はもっとまわりたい場所があったのだけど、それはまたの機会にしようと思う。なんせ、春のツーリングは素晴らしいだろう。でも、冬のツーリングも、全然悪くない。






Copyright © JEDDAMERIPON. All Rights Reserved.


トップ自己紹介部屋 ┃ バイク部屋 ┃ 好きなもの部屋日記部屋トピック部屋栽培部屋BBS

┣━女26にしてバイクなワケ女27にして大型なワケ
┣━バイクは重装備でバイクライフのお供
┗━ツーリング日記:富士榛名湖勝沼箱根江ノ島銚子城ヶ島城南島
             晴海/富津/九十九里横須賀勝沼2奥多摩日光