婚約指輪をもらうなら、デビアスがいいと、昔からあこがれていた。昔、映画館でよく流れたあのCMを、ご存知だろうか。揺れる電車。向かい合わせに座るカップル。眠っていた彼女が目を覚まし、目をこすろうとすると、その指には指輪が。感動でいっぱいの彼女は、涙目で、彼に微笑み、こくんと頷く。“ダイアモンドは永遠の輝き”。完璧なCMだったと、今でも評価している。
そんなわけで、彼は、デビアスのラディアンス・コレクションを買ってくれた。既製品はサイズが合わず、3ヵ月以上かけて、海外のアトリエで一から作ってもらった。納品されたのは、入籍直前。伊勢丹の担当者と、何度も電話でやりとりし、ようやく手に入れたものだった。
「指輪がない」と、彼に告げると、驚きはしたものの、「いつからないの? どこかにあるよ」と、意外に冷静だった。「どっひゃー」と驚き、もっと怒られ、責められたりも、するだろうなと思っていた。彼があまりに責めないので、それが逆に辛かった。「盗まれた可能性ってあるのかな」と私が言うと、彼は「人を疑うのは、一番最後にすることだよ。大丈夫、きっとどこかにあるよ」と言った。私は、あまりよく眠れなかった。
もしかして、カラードレスをしまったガーメントケースの、ポケットの中にあるかもしれない。そうひらめいたのが、今日仕事をしていたとき。忘れないように、左手の上に赤字で「カラー」と書いた。
家に帰り、そこを見ると、四角いケースがあって、指輪もちゃんと中に入っていた。「あった!!!」と、泣きそうになりながら彼に言うと、彼は「ほらねー」と笑った。そして私は、「七度(ななたび)尋ねて人を疑え」ということわざを彼から学んだ。物が見当たらないときなどは、よく探したうえで最後に人を疑え。軽々しく人を疑ってはいけない。私は、自分が恥ずかしかった。というわけで、只今反省中。
結婚すると、当然色々な変化が生じるわけで、正直、最初は来るべきそれらの変化にビビっていた。実家を出る、苗字を変える、生活パターンを変える、結婚する……本当に私は結婚するのか……それってどういうことなんだろう。初体験は、謎だらけだ。マリッジブルーにも陥った。
今月頭、婚姻届を出すときは、「これで後戻りはできん」と、相当緊張した。が、出してしまえば、どってことはなかった。逆に、何だかホッとした。
相手の実家である、愛知県K市にある神社で挙式をした。何もかもが新鮮で印象深く、とりわけ白無垢とカツラの重さは、一生忘れない。皆に、感謝、感謝。
挙式の翌週末、今度は東京で披露宴をした。乾杯の音頭をとったのは、世界一の乾杯☆王子、私の甥っ子! お気に入りのミッフィーカップを手に、義兄の立派な挨拶の後、小さく控えめに「カンパイ(とカンカイの中間音)」を言ってくれた。本当に、どうもありがとう。
これといった余興もスピーチもなく、でも最高に最高な2時間半を過ごした。皆に、感謝、感謝!
そして今日は、新居でこの日記を書いている。
夫は、パキパキお掃除をしている。
これかも、どうぞよろろしく。
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