4月24日(日)晴れ バテバテの中の、至福のとき
この間の木曜日、バタバタと仕事をしていると、姉から携帯メールが届いた。彼女は時々、こうやって甥っ子の写真を送ってくれる。時間がないのでランチをデスクでとりながら、ラブリーな甥っ子の写真に顔がニヤけちゃう。右の写真は、「ユキちゃんお仕事頑張ってね」と言っているの。ほんと、頑張っちゃうよー。
と言いつつ、正直最近の私はバテバテである。仕事量があまりに多く、朝8時半から仕事を始め、もう少しで日付が変わる時間帯まで働いても、終わらない。「最近電車で帰ってないな……」というトレーナーの呟きが、私にも身近な現実として迫りつつある。転職三週目にして体はボロボロ。社会人になって初めて、「仕事終わらないかも……まわせないかも……」という不安に襲われた。一人立ちの日も近い。プレッシャーがピークに達した日の夜は、泣きながら帰った。こうやって、越えていく日もある。
夢の金曜日を迎え、ようやく待望の週末。土曜日、バテバテなくせに新しいツーリングリアバッグとメッシュのグローブが欲しくて、246沿いにあるKUSHITANI世田谷店へ向かった。半年以上ぶりにスタッフと顔を合わせると、本当に久しぶりですねと、声をかけてくれた。色々買って、おしゃべりをして、お勧めのツーリングスポットも聞いて、思いっきり渋滞に巻き込まれて家に着いた頃、何だか調子が悪かった。一眠りしようかなと横になっていると、これまた偶然、KUSHITANI熊谷店のスタッフから電話がかかってきた。この人は以前、浜松にあるKUSHITANI工場見学を案内し、最後まで伴走してくれた人だ。何でも明日、茨城県の大洗海岸で、ラブ・ジ・アースミーティングがあるという。内容は、ライダーが集まり、海岸の清掃をするという単純かつ尊いイベント。大洗海岸は、東京都心から片道100キロ弱。物凄く、行きたかった。
が、その晩、あまりに気持ちが悪くて、何年ぶりかに吐いた。大洗海岸は、一気に遠ざかった。
日曜日の朝は絶好のツーリング日和で、大洗海岸に行けないことが悔しくてたまらなかった。ほんと、なんでこんなにバテバテなんだよお。チクショー、もう一度寝てやる、と思っているところに、友達からメールが。よくBBSに登場する、みほぶうである。彼女と私は、いつもこうやって、突然その日に「何してんのー、暇だったら何かしよー」と、連絡を取り合うことが多い。
バテバテなんだよお、癒しが必要なんだよお、だから新宿御苑でピクニックがしたいと言うと、無理しないでと心配しながらも了解してくれた。
そしてその2時間後、私たちは新宿御苑の芝生の上にいた。風がざああっと吹くたび一斉に舞う、桜吹雪の中にいた。それが、どれほど気持ち良かったことか。プライスレスなひと時を過ごし、週末リセットは完了した。
きっと人生は、しんどいことと、束の間の至福のときの繰り返し。今は少し、しんどい時間が長いけれど。来週のゴールデンウィークまで、もうひと頑張りして、思いっきり濃い至福のときを迎えたい。
4月16日(土)曇り 胸、いっぱい
新しい会社に移って、2週間が過ぎた。日比谷公園に近いビルへ、毎日元気に通っている。
転職組だらけの外資系に転職すると、“ほったらかし”にされる可能性が非常に高い。がしかし、私にはとても優しいDさんというトレーナーが付き、本当に親切に、色々なことを教えてくれている。おまけに、「そんなに気を使わなくていいよ。気を使いすぎると疲れちゃうからね」とか、「今日はちょっとバタバタしていて、全然かまってあげられなくてごめんね」とか、「さっき、何か頼まれていたみたいだけど大丈夫?」と、声をかけてくれたりもする。本当に、ありがたい。
Dさんは「最近電車で帰ってないな……」と呟くほどに忙しく、また、チームの皆も相当忙しいはずなのに、何か聞けば、嫌な顔一つせず、丁寧に教えてくれる。別のチームの人から、「あなたのチームにDさんがいて本当に良かったね。普通はあんなに教えてもらえないんだよ」と言われるほどに、私は恵まれている。
Dさんに、どれほど感謝しているかを伝えると、こんな話をしてくれた。同じチームにいるEさんが一年半前に入社した頃、言葉通り“ほったらかし”にされ、それがとても辛かった。だから、その半年後(今から一年前)にDさんが入社したとき、EさんはDさんに色んなことを教えてあげた。分からないことだらけのDさんは、そんなEさんに何度も助けられた。そして、Eさんはこう言ったそうだ。「もしも、また新しく人が入ってきたら、そのときはDさんが、その人に教えてあげてね」と。その想いは、受け継がれている。じーん。じーん。私は、胸、いっぱい。
もしも今度、新しい人が入ってきたら、そのときは私がその人に、DさんEさんと同じように、どんなに忙しくても、親切に教えてあげよう。そうなれるまでには、まだまだ時間がかかりそうだけど! でも、Eさんの想いは、必ずつなげていく。
4月10日(日)晴れ トホホな出費
最近、痛い出費が多い。しかもその出費、自分のドジが原因で起こるものが多い。
例えばこの間、机の上を片付けようとノート型パソコンを床の上に置いた。その数分後、「ベキッ!」。そう、思いっきり踏んでしまったのだ。まさかと思い、恐る恐るフタを開けてみると、液晶は見事に割れていた。なんてバカなんだろうと猛烈に反省しつつ、なんてヤワなPCなんだとも、正直ぶうぶう思った。象が踏んだらアウトだけど、か弱い乙女程度だったら、何となく、大丈夫なんじゃないかなあと思っていたのだ。甘かった……さらば乙女な私。
早速SHARPに問い合わせると、「あー……液晶交換は高いんですよ」と、本当に申し訳なさそうな声が返ってきた。その申し訳なさっぷりが、何だか怖い。イヤ〜な予感は的中し、修理費実に74,390円(液晶\51,800、技術料\20,000、消費税\3,590)。この事件以来、PC(特に液晶部)は乙女の如く大事に扱っている。か弱い乙女は私じゃなくて、PCの方だった。
そして昨日の朝、またドジなことをしてしまった。なんと、バイクのフロントディスク(写真)に(ディスク)ロックをつけたまま発進させ、ディスクを思いっきり歪めてしまったのだ。これはよくある初歩的なミスなのだが、あまりにバカ過ぎて、親に言うのも恥ずかしかった。そして案の定、「ロックつけたまま発進しちゃったの」と言うと、母がクールに一言。「バカだねー」。
さて! ディスクが歪むと油圧ブレーキの一発目がスカスカになり、ほとんど効かなくなってしまう。車間距離を普段以上にとり、エンジンブレーキと後輪ブレーキを使いながら、急いでホンダドリームへ持っていった。さすがにメカニックのお兄さんは優しいので、「バカだねー」とは言わず、「気にしない」と笑顔で一言。ディスク交換は、部品が\22,500、工賃が\3,600。さらに、以前、走行中に後輪タイヤが釘をひろってしまったため、タイヤを交換することにしたのだが、それ(タイヤ)が\34,000に工賃\4,000+消費税。値引きがあり、全部できっちり\60,000という数字を出してくれた。が、この\60,000、全部避けられたかもと思うと、本当にトホホ。
もうこんなトホホな出費はイヤだーっ! と、思いつつ、やっぱりこれからもあるんだろうな。とりあえず液晶割れとディスク破損だけは、もう二度とナシってことで。
4月3日(日)晴れ 最後の転職物語
今年1月に働き始めてから、私は毎日ずっと、目黒川沿道の桜が咲くのを待っていた。3月末までは、桜が咲く頃までは、頑張ってみようと決めていたから。
去年の春に会社を辞めてから9ヵ月間、無職で転職活動に打ち込んだ。色々あって、ようやく社会人復帰を果たしたのが今年1月。会社を移る者は誰しも経験すると思うが、実は正直、移って3日で辞めたくなった。「ここだ!」と思って入った会社だったが、その一ヵ月後、私が定期券を再購入することはなかった。
転職活動の厳しさは、経験から知っている。もう二度と、やりたくないとも思う。それでも、この会社でキャリアをまっとうするのは、あまりにも悲し過ぎた。どの会社にも、問題はあって当然。それで会社を辞めていては、職歴は汚れ、印象は悪くなる一方だ。だが、たとえそうなったとしても、私はこの会社を早急に出たかった。それほど、事態は悪かった。
転職が成功したかどうかは10年経たないと分からない、と経験者が語るのを聞いたことがある。でも、私にそんな余裕はない。女性のキャリアの長さは、男性のものとは違う。焦るわけでもないが、短いなら短いなりに、一発花を咲かせたい。その思いが、ずっと離れなかった。
そんなもやもやした日々を送っていたとき、携帯に一本の電話が入った。出ると、以前お世話になった人材紹介会社のBさんだった。「僕が今電話している意味、分かりますか? 前に言ったこと、覚えてますか? またA社で募集があったら、必ず連絡しますと言ったでしょう? 募集、かかりましたよ。まさかこんなに早く連絡が来るとは、僕も思っていなかったのでビックリしました」、と。
さて、ここでA社の話を。
A社というのは、私がずっと昔から行きたかった会社である。実はBさんの紹介で、94年の春と、同年夏にA社を受け、いつもいいところまでいくのだが、最後に「残念ですが……」と言われ涙を呑んできた。呑むというより、一度目は溢れちゃったけれど。
二度目に落ちた夏、Bさんはこう言ってくれた。「(A社の採用担当者)Cさんはあなたの熱意を非常に買っていて、今回以上に、希望に合うポジションが空いたときは、必ずまた連絡してくれるって」。二度も受けられたのはラッキーだったが、さすがに三度目はないだろうと、そのときは思った。が、本当に連絡をくれたのだ。それが、今年3月頭の出来事だった。全てのタイミングは、揃っていた。
3月、二度にわたり会社を休み、A社の面接を受けた。久々に再開した採用担当者のCさんは、「何度もお越しいただいて申し訳ございません」と、相変わらず優しい。Bさんが、「Cさんは今まで僕が会ってきた人事の中でも、トップ3に入るぐらい良い人」と言うほど、Cさんは素敵な人だ。
三度目にA社を受け、その最終面接が終わったとき、これで落ちたらよっぽどこの会社には縁がなく、きっと何度受けても内定は取れないだろうなと思った。結果を待つ間は、「これが三度目の正直なのか、いやいや、二度あることは三度あるかも。充分あり得る……」と考え、息がつまりそうだった。寝ても覚めても、結果のことばかりを考えていた。Bさんに「息がつまりそうです」と言うと、「僕もドキドキして頭がはげそうです」と言ってくれた。
結果は、「三度目の正直」の方だった。目黒川沿道の桜は、つぼみがぷっくり、ふくれ始めていた。
去年の春、最初にA社を受けてから一年。長い転職活動を通し受けた会社は多いけれど、落ちたことが残念でならなかった会社は、A社しかなかった。そんな、一年越しの想いが、ようやく実ったのだ。
フラれ続けた過去の印象が強く、内定をとった後も、本当に入社できるのか実は不安だった。万が一話がひっくり返って、内定が取り消されるのではないかと、オファーレターにサインをするまでは「本当に大丈夫なんですよね?」と、Bさんに聞いたこともある。それぐらい、現実感がなかった。
そして先日、オファーレターにサインをするため、A社へ向かった。数週間ぶりに再会したCさんが、「おめでとうございます」と、笑顔で迎えてくれた。別の人事部スタッフから条件面や入社手続き等の説明を受け、書類へのサインもあっと言う間に終わった。手は汗で濡れ、ドキドキして、普段以上にヘタクソな字になってしまった。
その後、健康診断を受けるため、Cさんが近くのビルへと案内してくれた。別れ際、「それではまた来週」とCさんが言った。この一言が、内定をとってからの、どんなおめでとうより嬉しかった。一年前から、面接でA社を訪れ、Cさんに案内される度、「この人と会うのは、今日が最後になるかもしれない」と、思い続けてきたから。でもこれからは、同じA社で勤務できる。イエーイ!! 「また来週」と頭を下げ、上げたとき、ようやくA社に入社できる実感がわいた。
健康診断を終え、お世話になったBさんのもとへ挨拶に行った。お互い、顔を合わせると同時にふふ、と笑い出し、Bさんは「感無量です!」と言ってくれた。私も、感無量です。Bさんにも、Cさんにも、感謝しきれないほど、感謝している。その感謝を、どう返すか。その方法は一つ。これから先、元気に頑張ることだ。頑張って、会社に、社会に、貢献することだ。明日から、私の一発を咲かせるために、新しい生活が始まる。これが、私の最後の転職物語。
4月1日(金)晴れ モテモテの、薄紅の木
東京都心では昨日、ようやく桜の開花が宣言された。バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ!
同じく昨日、私は会社を辞めた。そして来週月曜から、また新しい会社で働き始める。この、「最後の転職物語」は近々記録するとして、本日の主役は桜!
今日は午後から、入社手続きをすることになっている。よっし、では早起きして新宿御苑の桜でも見に行こうと、開園の9時に合わせ、妹のチャリで快晴へと飛び出した。
ちょうど大木戸門が開いた午前9時、新宿御苑に到着した。門の周りには、団体観光客や、アマチュアカメラマンたちが、我先にと中へ入って行く。私も入園料200円を払い、チケットをゲートに通して緑の中へ。
散歩を開始してすぐ、薄紅色に染まった木を、ぽつりぽつりと見つけることが出来た。近くに行ってみると、結構しっかり咲いている。品種によっては、もう満開という木もあった。
のんびり花の間を歩いていると、観光客カップルが桜の下に寄り添い「イー、アル、サン」パチリと、写真を撮っている。桜は、ロマンチックだな。
しばらくの間、広大な芝生のど真ん中を横切り続け、ぐるぐると歩き回った。そこへふと、疑問が。あのカメラマンたちはどこへ行ったんだろう。不思議に思いながら、奥へ奥へと進んでみた。
すると、一際美しい、満開の花をつけた木が見えてきた。その周りを取り囲むのは、何十人ものカメラマン。皆、この木がお目当てだったんだ。
私は少し後ろから、多くのレンズが向けられたその見事な桜を、眺めることにした。カメラマンの視線を独り占めする、モテモテの、薄紅の木。時折強く吹く風にのって花びらを落としてゆく姿は、言葉を失うほど美しかった。春は、いいね。
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