「二人が睦まじくいるためには」
■著者:吉野弘■発行:童話屋■定価:\1,250

 二人が睦まじくいるためには、何が必要か? 私は、思いやりだと思う。いくつになっても、「ありがとう」と感謝する気持ちや、相手を思いやる気持ちがあれば、二人はずっと、睦まじくいられるんじゃないかと思う。愛は、形を変えながらも、やっぱり愛のままなんじゃないかと思う。
 吉野弘さんの「二人が睦まじくいるためには」という詩集には、私が大好きな「祝婚歌」をはじめ、ほかにも胸をうつ素敵な詩がたくさん詰まっている。私は、この本に出合えて、とても幸せ。特に「祝婚歌」は、いつ読んでも、何度読み返しても、やっぱり胸をうたれて、感動する。
 ちなみに吉野さんは、この詩を民謡のようなもの(=作者不明につき著作権料が発生しない)だと考えているらしい。ということで、全てをここに御紹介。「二人が睦まじくいるためには」で始まる、吉野弘さんの「祝婚歌」。

二人が睦まじくいるためには 愚かでいるほうがいい 立派すぎないほうがいい
立派すぎることは 長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい 完璧なんて不自然なことだと うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが ふざけているほうがいい ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても 非難できる資格が自分にあったかどうか あとで 疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気付いているほうがいい
立派でありたいとか 正しくありたいとかいう 無理な緊張には 色目を使わず
ゆったり ゆたかに 光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら 生きていることのなつかしさに ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして なぜ胸が熱くなるのか 黙っていても 二人にはわかるのであってほしい


「EARTH FROM ABOVE 空から見た地球」
■写真:航空写真家ヤン・アルテュス=ベルトラン■発行:朝日新聞社■定価:\2,700

 2000年夏、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムへ「ヤン・アルテュス=ベルトラン写真展 空から見た地球」を妹と二人で見に行った。そのとき買った写真集(図録)が、この一冊。世界76カ国、総飛行時間(ヘリ)3000時間をかけ、ヤンが撮影した作品の結晶がここにある。
 最初に書かれたヤンのメッセージには、「カメラをかかえて何千時間も飛行するなかで、私は多くを得ることができました。この経験から得られたものを今回の展覧会でみなさまと分かちあうことができることを幸いに思います」とある。そんな彼が撮った写真は、どれもインパクトがあって、見る者の心を吹き飛ばすほど美しい。
 私は、今でもたまにこの写真集を眺める。地球にある、普段何気なく見ている光景も、上空から見れば別世界。少し視点を変えるだけで、全く違った世界が見えてくる。新しい色、構図、模様、デザイン。色んなものが見えてくる。この写真集は、何事も少し視点を変えてみることの大切さ、面白さを教えてくれる。と、真面目な話はぬきにしても、眺めているだけで大いに楽しめる一冊。200点の写真を見終わった後は、ちょっとした地球旅行を楽しんだ気持ちになれる、おまけ付き!

「心を決めたあのことば」
■発行:角川書店■定価:\893

 「心を決めたあのことば」を買ったのは、高校生か大学生の頃だったと思う。角川書店雑誌事業部「21世紀のワタシにエール!」委員会が、ライコスジャパンのサイト上で一般公募し、入賞した100のことばが収録されている、ちょっと、いやかなり素敵な本。私はこの本を通して、言葉の持つ力について考えさせられた。誰かのたった一言が、自分の人生を支え、変えることがある。心を動かす力を持つ、言葉の凄さ。そして短い文ではあるけれど、その言葉の背景にある100人の物語。私はこの本に出合えて幸せだと思う。この本の中で私が特に好きな言葉は、「努力は素質を上回り、気力は実力を越える」という体育会系な一言。この言葉を胸に、日々色んなことを頑張っている。
 この本はシリーズになっていて、第二弾「恋してしまったあなたに」、第3弾「仕事をがんばるあなたに」、第四弾「あのひと言があったから」が出版されている。どれも、誰かの心に残る大切な一言だから、大事にしたい。
 こうやって人の心をプラスに動かす言葉もあれば、ナイフのように切り刻む言葉もあるわけで、だから相手に言う言葉には充分気をつけようと思わせてくれたのも、この本。何度読み返しても、胸にガツンとくる。

「彗星物語」
■著者:宮本輝■発行:文春文庫■定価:\540

 「彗星物語」を買ったのは、さて何でだったかな。とにかく、この本を読んで宮本輝のファンになったことは確か。
 ストーリーは、ある典型的な日本の家庭に、ハンガリーからボラージュという青年がホームステイしに来るところから始まる。日本人が外国にホームステイする話を読むより、私はこの、日本の家庭にホームステイしに来たボラージュを描いた本に興味を持った。ボラージュが家庭にもたらす変化や、家族一人ひとりが抱える悩み、葛藤、思い、成長ぶりが、細かく、分かり易く書かれていて読みやすい。そして、面白い。何度読んでも面白い。
 何より、フィクションとはいえ、ボラージュの命をかけんばかりの勉強っぷりには驚かされた。そして、フックという少々肥満気味な犬が出てくるのも、愛犬家としては嬉しいポイント。所々に、心を動かす言葉が散りばめられているのが、宮本輝を好きな最大の理由かもしれない。

「夏の庭ーThe Friends」
■著者:湯本香樹実■発行:新潮文庫■定価:

 湯本香樹実の「夏の庭」を教えてくれたのは、大学の頃の友達だった。「彼女の、優しい感じのする文章が好きなんだ」と言っていたっけ。優しい感じのする文章って、どんな感じかなと思い「夏の庭」を買ってみた。小学生の男の子3人が、近所に住むすんごいガンコで今にも死にそうな爺さんの死ぬ瞬間を見てみたいと、いかにも子供らしい好奇心から観察を始めるところから物語は始まる。そのガンコなお爺さんが子供たちと係わることで、どんどん変わっていく。その変化が、嬉しくて、上手く言えないが鼻にツンとくる。最友達の言ったとおり、文章が優しい感じ。読み終わったあとに、何かいいものが、心に残る作品。
 この作品は、児童文学者協会新人賞、児童文芸新人賞など多数の賞を受賞しており、同タイトルで映画化もされている。しかもすんごいガンコで今にも死にそうな爺さんを、三國連太郎が演じている。観ったーい!





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